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巡礼峠 [過去詩]

   巡礼峠
木漏れ日の中を峠の道辿れば                     
これ以上は無い柔和な瞳の
地蔵菩薩に足を停められ
「この先の道はチョット険しいよ」って

腰を屈めて靴紐を正す
視線の先に白く舞い踊る
懐かしく咲き出(い)ずるヤマホトトギス
この秋一番の贈り物かなって

巡礼の道は何処までも続く
大切な記憶や苦過ぎる思いに
はちきれそうになる ザックの中は
でもこの荷をおろせば余計に切ないし

挨拶を交わす みんな連れが居る
向かって来る人たちばかりで
狭ま過ぎる道を譲ってばかり
作り笑顔も次第に疲れ果て

昔この道で巡礼の親子が
命奪われ 落ち着かぬ魂
鎮めの光と優しい無音が
今歩む人たちまでも掌(たなごころ)に遊ばすって
20181128チロリンコンビ1-002.jpg
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虫の音 [過去詩]

虫の音が
張り裂ける
僕の胸なおも
夜明けまで
打ち続け何を訊きたいか

鬱々と渋々と語り寄せる
虫の音に洗われて
覚めた目の奥に
遠い日の壊れた
優しさを思う

ギリギリに絞った声を限りと
終わりの歌を聴かせてくれる

寄る辺無く
さ迷い
吹き溜まる心
止まり木を
横目に何を羨むか

愛しさと卑しさと手繰り寄せては
心もとなく口元緩め 

20190404シジュウカラ3.JPG
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